あつき君というやつと一緒にゲル地区のほうを訪れたときがあった
ゲルは移動式のテントとして、古い昔からほとんど形をかえずにきた遊牧民の棲み家
形として完全に成立しているし、これ以上何か工夫するという必要を感じないくらい、完成された美しさを感じる
しかし、移動することが念頭にある建物
このゲルはいつから此処にあるのか
僕はこのゲルに、「国が発展する」ということの歪みと淋しさを感じる
仕事がなくても首都に住まなければ生きていけない人がたくさんいるのである
遊牧では生計を立てられない人々 稼ぐことを目的に上京してきた人々
国が発展する ってなんやろうか なにか、一つの大きな消費システムに埋没してしまうことなんやろうか
競争に勝っていく事なんやろうか お金を得て豊になることなんやろうか
当然この国の人々に、「近代化ではなく自然に還ろう」みたいなことを主題化していくことが可逆的で不可能なことは解る
文明化された僕たちがそんなことを言っても、無理なんや
この原因、この現状、僕は日本人としてこれを広い目で見ていきたい
構造的貧困
ウラーンバートル