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内山政義 陶展 美山かやぶき美術館

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内山政義氏の展覧会を久しぶりに見に行きました。
彼の息子であり、僕の大切な友達である泰義(ウッキー)にチケットを貰い、美山まで足を運んだのです。
美山かやぶき美術館に行くのは初めて。美山には茅葺き屋根を保存する建物がたくさんあり、その景色は本当に綺麗です。
道中多くの茅葺き屋根を見かけることができます。いつ建てられた建物かはわからないけど、瓦屋根と茅葺き屋根、それに最近のガルバニウム系の屋根など、建てられた時代はなんとなく判別できるのがおもしろい。
そのなかでも茅葺き屋根は、見た目にやわらかさがある。家と屋根とのバランスがかわいいし、軽そう。有機的で生命力を感じるような雰囲気が好きです。
中身をみてみると、縄などがふんだんに使われ、古人の智恵を感じる美しい造りだと感じます。

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内山政義さんの作品。以前にも増して「たっぷりと、とっぷりと」した感じがしているように感じました。
そしてなによりもまず、美しい。

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触りたくなる。
触っても良いものなので手に取ると、軽い。いや、軽いというか丁度いい。
軽すぎず、重たいとも感じず、うれしくなるような充実の重みといった感じです。
そして手に吸い付くような釉調。潤いを含んでそのまま焼きものにかたまったようで、そういう手触りにやられます。優しさを感じる。

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展示の仕方も気負いがなく、美術館といいながらも茅葺き屋根の家に置いているだけといった、日常の雰囲気に近いもので、見ていて落ち着く。

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今回一番好きだったこの歪みのあるお皿たち。
サイズや色、模様や質感と歪み。全てが料理などを盛りつけるのに味方してくれそうな感じ。
これをずっと触っていました。

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彼の作品はホントにどこまでも伸びやかで優しいまるみを帯びた果実のようで、作者の気心の良さをしっとりと感じてしまうものです。
僕が訪れた際、このおっちゃんと久々に話をしてんけど、相変わらず、なんというか「有名になろう」とせず、「かっこつけよう」とせず、「生きる」そのもののように「息をする」ように制作に向き合っておられると感じました。
僕もそれを理想とするところです。

そんな風合いがかやぶきの屋敷とぴったりマッチしてて本当に心地よいものでした。

ものをつくる。それを生きるということとほとんどイコールでいたいし、そうあるべきだと思う。そうでないと身の丈に合わないし、辛いものになる気がする。
もっと自然にものが作れるような心持ちや姿勢を持っていきたい。ウッキーのおっちゃんみたいな、低姿勢でのんびりとしれっとした感じに憧れたりします。

「ロクロに飽きてきてな〜。何でも作れてしまうやろ。面白ないねん。せやから最近はこないして歪めてみたりしとるんや。そないしてたらだんだん器が柔らかさを増してきてな。」
こんなんなかなか言えんで。
ロクロで何でも作れてしまえるほどの、果てしない時間と労力をかけてきたからこその感覚。
すごいな。
内山政義といえばロクロ引きで機械のように同じものを作ってしまうほどの技術の持ち主として知られていますが、作品をみていても話を聞いていても素材と道具のことをよく知っていらっしゃると思わされます。
真摯に土と向き合ってこられたからこそでしょう。 尊敬。


見に行けて本当に良かったです。
by mongoling-yanwoo | 2013-05-28 21:25 | 日本
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